2016年から「週刊少年ジャンプ」で連載されている『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴先生)。今では大人気マンガとなった『鬼滅の刃』ですが、連載が始まった当初はなかなか人気が出ず、連載打ち切りの噂がされた程でした。
「画がジャンプっぽくない」「ストーリーがワンパターン」等、数々の批判的な意見があったようです。
しかし2019年を堺に『鬼滅の刃』の人気が爆発的に上がり、今では芸能人が鬼滅ファンであることをテレビで公言するまでになりました。
この大躍進には何か理由があったのでしょうか。ここでは、『鬼滅の刃』がここまで大人気作品になった理由を3つ考察していきます。
理由1:アニメ化
『鬼滅の刃』の人気が大きく上昇した2019年ですが、2019年には『鬼滅の刃』にとって、とても大きな出来事がありました。
それは2019年4月からアニメ放送が開始されたことです。手掛けたのはアニメ業界で定評のある映像制作会社ufotable有限会社。否が応でも注目が集まりました。
原作者である吾峠呼世晴先生の描くキャラクターは特徴的です。
姿かたち、髪型、服装や動きに至るまで、細部まで美しく、独特の世界観の中でストーリーが描かれています。
例えば羽織物やアザのデザインは非常に細かいです。
こんな服装で動かれたら、描くのすごく大変そうだなと素人でも心配してしまうレベルの複雑さなんです・・・。
その美しい世界観にufotableが息を吹き込むことで、多くの人を魅了するアニメができあがり、ファンが増えたことは間違いないでしょう!
声優陣についても続々と有名声優が起用されましたので、アニメ版を通じて多くの人々が『鬼滅の刃』ファンに転じたと思われます。
アニメ版を通じてファンになった方々が原作を購入し、原作の販売部数の伸びにも貢献したようです。週刊少年ジャンプの購買層以外のファンを取り込めたのは大きいですね。
【鬼滅の刃】累計発行部数推移をグラフにしてみた!売上が伸びたのはいつから?
アニメ最終話の放送では、2020年の映画化も発表されましたので、これからもまだまだファンは増えていきそうです。
理由2:今までにない主人公像
主人公といえば、誰よりも強く、周りをぐいぐいと引っ張っていくイメージがありますが『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎はそんなよくある主人公とは一味違います。
炭治郎は純粋で素直で、誰よりも心の優しい少年です。
鬼殺隊として何匹もの強い鬼との戦いを乗り越え、どんどん強くなっていく炭治郎ですがその戦いはいつもギリギリで、自問自答の連続です。
今自分はどうしたらいいのか、育手や先輩に教えてもらったことをどう活かしたら良いのかを自分に問いかけています。
ときにはもうダメだと諦めそうになることもあります。そのたびに鬼殺隊の仲間や妹・禰豆子に助けてもらいながら、苦難を乗り越えていくのです。
こうして鬼を倒していくわけですが、首を切られた鬼が朽ち果てていく姿を見ても、炭治郎は決して喜びません。
悲しそうな目をして、鬼の最後の姿を見つめています。
鬼もそれぞれの悲しい事情があり、鬼となってしまったことを炭治郎は理解しているからです。ときには子どもの鬼の手をとり、次は鬼になどならないようにと願ってあげることもあります。
優しすぎる!!優しすぎるよ、炭治郎!!
よく泣きますし、我慢強いところもあって(長男だから)、頑固でどうしようもないところもあります(長男だから)。
しかし圧倒的に優しく、物事の本質をつき、なぐさめたり励ましたりがめっちゃ上手いのです(多分長男だから)。
そんな竈門炭治郎は新しい時代のヒーローだと言えそうです。その底抜けの優しさが、周辺の登場人物だけでなく、読者の心も惹き付けるのかもしれません。
また、平成の時代は「夢」「自由」という部分にスポットが浴びていた部分が大きく、良くも悪くも昭和以前の地道でしっかりとした精神を受け継ぐ文化というのが薄れていた時代でもあります。
「長男だから」というフレーズはそういった意味で、文化を見つめ直していきたい令和の時代とシンクロしているのではないかと思います。
理由3:『刀剣乱舞』の流れにのった?2作品の共通点も
ここでもう1つ、また別の角度から『鬼滅の刃』の躍進を支えた存在があります。
それが人気ゲーム『刀剣乱舞』です。
日本刀の名刀を男性に擬人化(ゲーム上では「付喪神」という設定)した「刀剣男士」を収集・強化し、日本の歴史上の合戦場に出没する敵を討伐していく刀剣育成シミュレーションゲーム。
wikipedia
プレイヤーが刀剣を擬人化したキャラを育て、戦いに勝つゲームですが『鬼滅の刃』より一足も二足も早く、アニメ化舞台化などなど凄まじいムーブメントを巻き起こしていました。
これにより日本国民の間で、歴史物のアニメを受け入れる、いやむしろ欲する土台はできていたといえます。
刀剣のデザインや、キャラクターの服装など、非常に魅力的なコンテンツですよね。
そこに『鬼滅の刃』の登場です!
『鬼滅の刃』は大正時代が舞台になっており、袴や刀など、『刀剣乱舞』と共通する要素が至るところに散りばめられています。
もちろん偶然の一致ではありますが、結果的には『刀剣乱舞』が作り出した大きな流れに『鬼滅の刃』も乗っているといえそうです。
ちなみにアニメ『活撃 刀剣乱舞』を手掛けたのも、ufotableさんです。
『活撃 刀剣乱舞』のノウハウが『鬼滅の刃』にブッこまれているわけですから、映像が美しいはずです…。
もうufotableさんには足を向けて寝られませんね!
【鬼滅の刃】アニメ制作会社「ufotable」の意味や読み方は?
まとめ
『鬼滅の刃』の躍進を支えた要素3つ
・アニメ化によるファン増大
・今までにない主人公像
・『刀剣乱舞』との相乗効果
■参考
booklive
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