地面を削り、山から吹き荒れるような暴風の風の呼吸。
広範囲かつ高速の動きで攻撃を行います。
ここでは風の呼吸についてまとめていきます。
風の呼吸とは?
日の呼吸(=始まりの呼吸)から派生した基本五流派の一つで、9つの型が基本形。
荒々しい暴風のような動きからの斬りこみは鎌鼬を想起させます。
鎌鼬というのは日本に伝承される妖怪及びその怪異のことをいいます。特に雪国に多いです。旋風(つむじかぜ・センプウ)に乗って現れ、両手の鋭い爪で人に切りつける妖怪とされています。
日輪刀の刀身は緑色です。
他の流派の技にはエフェクトが演出されますが、風の呼吸は実際の剣技からおこった風で攻撃しています。
風の呼吸の使い手
・不死川実弥(現・風柱)
・粂野匡近(推定)…不死川実弥に育手を紹介しているためおそらく兄弟子と思われます。
風の呼吸の型と技一覧
壱ノ型 塵旋風・削ぎ
読み方は「じんせんぷう・そぎ」(16巻136話初出)
柱稽古中に実弥が水柱の冨岡に出した技の一つで、小さな旋風を纏って地面をえぐるように直進して攻撃するのが特徴。
19巻166話では黒死牟に向けて放たれています。
塵旋風は旋風(センプウ・つむじかぜ)、辻風(つじかぜ)ともいいます。竜巻に似ていますが別物です。晴天時に発生し、地面から砂や塵が巻き上げられた状態になります。
塵…ちりやごみ、仏教の言葉として煩悩あるいは感覚の対象を意味。
旋風…渦巻き状の風であり、竜巻よりも小さく直径50メートルのものを指す。
削ぎ…動詞「そぐ」の連用形。「そぐ」は先端や出っ張りの部分を切り落とすという意味。
動詞の連用形とは、文中で文を中止するときの形(「ます」「た(だ)」「て(で)」が続く)。
それぞれの漢字の意味をまとめると、小さな旋風でちりごみはおろか、敵の煩悩や感覚でさえ途中で容赦なく砕く、という強い印象を与える技名になっています。
弐ノ型 爪々・科戸風
読み方は「そうそう・しなとかぜ」(19巻167話初出)
科戸の風…罪や汚れを吹き払うという風
weblio
爪々という言葉はありませんが、「爪」は「つめ」のことです。
爪々・科戸風は4つの爪のような斬撃が特徴。
参ノ型 晴嵐風樹
読み方は「せいらんふうじゅ」。19巻167話初出。
自分の周りを竜巻のようにして激しく連続して斬り付ける技。
晴嵐風樹という四字熟語はありませんが、晴嵐、風樹の熟語ならあります。
晴嵐・青嵐
1、よく晴れた日に立ちのぼる、山の気。晴れた日の霞(かすみ)。
2、新緑の上を吹き渡る夏の強風。あおあらし。
kobun.weblio
晴嵐とは夏の強い風のことで、夏の季語にも使われます。大日本帝国海軍が第二次世界大戦中に開発した水上攻撃機の名前にも用いられています。
風樹
1、風に吹かれて揺れている木。風木。
2、「風樹の嘆」に同じ。
風樹の嘆(ふうじゅのたん)…静止していたいのに、風に吹かれて揺れ動かざるをえない樹木のように、子供が孝行をしたいと思うときには、すでに親が死んでいてどうすることもできないという嘆き。
kotobank
この技の名前に込められている思いが、不死川実弥の過去とリンクして泣けてきます。吹いてくる風が強風なら尚更です。
肆ノ型 昇上砂塵嵐
読み方は「しょうじょうさじんらん」。(19巻166話初出)
「上に昇る砂塵の嵐」と書きます。砂塵というのは砂ぼこりの事です。
砂塵嵐…読み方は「さじんあらし」。塵や砂が強風により激しく吹き上げられ、空高くに舞い上がる気象現象。砂嵐。
wikipedia
噴きあげる砂嵐のような斬撃を連続して繰り出す技です。黒死牟から弟の不死川玄弥を守るために放たれた一撃です。
伍ノ型:木枯らし颪
読み方は「こがらしおろし」。(16巻136話初出)
柱稽古中に冨岡の雫波紋月に対して出した型。
空中から大きな風の輪を纏いながらの攻撃で、風の輪の大きさが壱の型の3、4倍あります。広範囲にわたる技です。
木枯らし…秋から冬にかけて吹く冷たい風のこと。
颪…冬に山や丘などの高所から降りてくる風のこと。
wikipedia
「下」に「風」が降りると書いて「颪(おろし)」と読みます。
「六甲おろし」という阪神タイガースの応援歌がありますが、筑波颪や富士颪など「山の名前+颪」となっていることが多いです。
漢字の意味を見ていくと、絵を見ているだけでは分からない冷たさや、山から吹いてくる風というスケールの大きさが理解できます。
陸ノ型 黒風烟嵐
読み方は「こくふうえんらん」。(19巻168話初出)
黒風…黒雲や砂塵をともなって吹く強い風。
烟嵐・煙嵐…山中にかかったもや。山靄。嵐気。
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漆ノ型 勁風・天狗風
読み方は「けいふう・てんぐかぜ」。(20巻171話初出)
勁風…強い風。
天狗風…突然はげしく吹きおろす旋風。
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捌ノ型 初列風切
読み方は「しょれつかぜきり」。(20巻176話初出)
初列風切という四字熟語でもあるのかなと思っていたら生物学上の名称でした。
風切羽(かざきりば)…鳥類の翼後方に整列している一連の羽根。
初列風切…風切羽の一部。接続している骨を基準に翼の先端側から初列風切、初列風切、次列風切、三列風切という。
wikipedia
鳥の初列風切はちょうど人間で言うところの手のひらの骨にあたるところに接続している羽根で推進力を得やすい形状となっています。
玖ノ型 韋駄天台風
読み方は「いだてんたいふう」。(199話初出)
韋駄天…増長天の八大将軍の一つ、仏法の守護神。もとバラモン教の神で、シバまたはアグニ神の子。
俗説から足の速い神とされる。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E9%9F%8B%E9%A7%84%E5%A4%A9/
韋駄天台風…進行方向を変えず、速い速度で進む台風
https://kotobank.jp/word/%E9%9F%8B%E9%A7%84%E5%A4%A9%E5%8F%B0%E9%A2%A8-433028
「韋駄天」というのは俗説から足の速い人の例えで使われますが、そこから派生した「韋駄天台風」という言葉もあります。
「玖ノ型 韋駄天台風」は台風の様な空中からの斬撃になります。
まとめ
・風の呼吸は基本の呼吸の一つ
・風柱である不死川実弥が使用する呼吸
・旋風を伴って斬りつける技が多く、広範囲の攻撃が可能
・エフェクトではなく実際の剣技からでた風で攻撃
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